8月26日、The New York Times紙が興味深い世論調査を発表しました。
9月の新年度を迎えるにあたり、アメリカの多くの親はこのコロナ禍で子供を学校生活に戻すことについて漠然とした不安を抱えていますが、その傾向は彼らが所属する政党、党派によって異なるというのです。
引用元:Should Children Go Back to School? It Depends in Part on Your Politics
まず全体の傾向としては民主党支持者、共和党支持者、トランプ支持者、反トランプといった異なる主張を持つグループでも、それぞれのマジョリティは子供を学校へ戻すことに不安を抱いています。興味深いのはその偏り方です。
トランプ大統領は現在まで、この秋に学校の再開を後押しするスタンスを維持し続けています。
https://platform.twitter.com/widgets.jsSCHOOLS MUST OPEN IN THE FALL!!!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) July 6, 2020
しかしトランプはその為に必要な学校内での感染拡大を防ぐための対策を準備できていません。教員や学校関係者はそのような中での学校再開に強い危機感を抱いており、9月の学校再開は現在のアメリカ国内では最も大きな議論の一つとなっています。
さて、トランプは9月の学校再開を推し進めているわけですが、その彼を支持する人々は、学校再開についてどのように考えているのでしょうか。
「あなたは子供がウィルスに晒されるリスクについて、どの程度懸念していますか?」という質問に対し、トランプを支持しない人々のうち60%が「強く懸念する」と回答し、27%が「やや懸念する」と答えました。9割近くが、子供がウィルスに触れる事を不安視しています。
これに対して、トランプを支持する人々の間では41%が「強く懸念する」、31%が「やや懸念する」と答えました。約7割は子供のウィルス感染を不安視していますが、一方で3割近くはそれを気にしないとしています。

このように、大まかには両派の考えは一致するものの、トランプ支持者たちはやや子供の感染を恐れない傾向にあるようです。
両者間にこれよりもやや大きな差異が見られるのが、教員たちをどう見るかに関する設問です。
「教員たちは学校へ戻るべきか(=直接対面の授業に戻るべきか)」という質問に対し、まず全体としては約25%の親は「戻るべき」と答え、約60%は「まだ戻るべきではない」と答えました。
内訳として、男性の民主党支持者のうち、「戻るべき」と答えたのは14%で、「戻るべきではない」と答えたのは73%でした。女性もほぼ同じで、「戻るべき」が12%、「戻るべきではない」が72%でした。
これに対し、男性の共和党支持者のうち41%は「戻るべき」とし、53%が「戻るべきではない」と答えました。女性は男性よりもやや民主党支持層に近いものの、31%は「戻るべき」、54%が「戻るべきではない」と答えました。

この結果に対し、NYタイムズのClaire Cain Miler記者は共和党支持の親は民主党支持層と比較して、3倍近くが教員を学校に戻すことに賛成する傾向にあるとしています。
またPew Research Centerが8月5日に発表した調査結果によると、週5日の授業全てを直接対面の形式に戻すべきかという質問に、共和党支持層は36%が賛成した一方で、民主党支持層でこれに賛成したのはたったの6%でした。
また同調査によれば全ての授業をオンラインで行うべきかというには、41%の民主党支持者が賛成しましたが、共和党支持層でこれに賛成したのは13%でした。

NYタイムズはこの両派の考え方の違いについて、この学校再開という問題でも政党間の分断を見て取れるとしています。
それも正しいかも知れませんが、一方でこれは都市と地方の技術環境の差や、保守とリベラルの考える教育のあるべき姿が違うだけだという可能性もあると考えられますし、必ずしも政党対立だけを表している現象ではないのかも知れません。