2020年大統領選挙に向けて現職のドナルド・トランプ大統領が掲げているスローガンの一つが「Promises Kept（守られた約束）」です。
彼は再選に向けたキャンペーンの中でしきりに、彼が当選以前に掲げた公約を達成してきた事を主張しています。
こういったトランプの言動に対し、先日ニューヨークタイムズのコラムニストであるニコラス・クリストフ氏が事実を検証する記事を発表していたので、今回はその膨大な検証の一部を当ブログで紹介していきたいと思います。
‘I keep my promises,’ Trump said. Let’s Check.
トランプの発言の下の注釈はクリストフ氏によるものです。
1．「私は南の国境線上に巨大な、巨大な壁を建設する」（2015年6月16日）
1,984マイルに及ぶ国境線上のうち307マイルに壁を建設したが、そのうちのほとんどは元々あった壁を改築しただけのものだ。
2．「そして私はその費用をメキシコに払わせるだろう」（同日）
メキシコはこれを拒否した。新たな壁を建設するのにかかる費用は1マイルあたり3,000万ドルであり、維持には更なる費用が必要となる。ちなみにこの壁は侵入者は50ドルの電動ノコギリで破壊できるようなものである。
3．「政府の最も基本的な義務はその市民の命を守ることにある。それが出来ないあらゆる政府には、人々を導くに値しないものだ」（2016年7月21日）
アメリカ合衆国では18万人以上がコロナウィルスで死亡した。これは人口あたりで見た場合はカナダの2倍、ドイツの5倍のレートである。
世界全体のうちアメリカ人の占める人口の割合は4%だが、全世界のコロナウィルス死者では22%も占めている。
4．「我々は破滅的なオバマケアを取り除く」（2016年7月21日）
トランプはオバマケアの撤廃に失敗した。更に彼は対案を示してはいない。
5．「あなた方は素晴らしい医療をもっと安価で手に入れられるようになる。それはアメリカ合衆国への負担とならない。」（2018年7月27日）
トランプのオバマケアへの攻撃によって、無保険者の人口はオバマ政権以来の過去10年間で初めて増加した。無保険の子供が40万人も増加した。
6．「今こそワシントンD.C.の沼を吸い出す（腐敗した官僚を排除する）時だ。それこそが私が政府の倫理改革を提唱する理由だ。」（2016年10月17日）
すでに8人ものトランプ政権関係者は犯罪への関与により逮捕・起訴されている。また無党派の倫理観察員たちは繰り返しトランプ及び政権関係者やトランプ家の倫理違反を告発している。更にトランプ家には脱税や保険詐欺などの疑惑があり、先月ニューヨーク州地方検察はトランプとのその会社に脱税など「長期的かつ広範囲における犯罪への関与の可能性」があるとして捜査を行なっている事を明らかにした。→記事へのリンク
7．「我々は中流層の人々の為の減税を行う。我々は中流層、つまり労働者層の男性と女性に焦点を当てて、彼らの利益を保証する。高所得者層のためではない。」（2017年9月27日）
トランプは確かに減税を行ったが、それは富裕層のみをターゲットとしたものだった。無党派の税政策シンクタンクによれば、トランプ以後の税制を続けていけば今後ますますトップ1%と中間層とのギャップは広がりつづけるという。
8．「我々はこの慢性的な貿易赤字を終わらせる」（2016年10月15日）
貿易赤字はオバマ政権最終年より拡大している。
9．「我々は道路を、高速道路を、橋を、トンネルを、空港を、そして明日への線路を建設する」（2016年7月21日）
トランプは一度もインフラ建設に関する法案を通そうとはしていない。
10．「私は神による創造以来の、最も素晴らしい「雇用大統領」になる」（2015年6月16日）
トランプ政権期の雇用創出率はオバマ政権期とほぼ同じだった、パンデミックまでは。
コロナ禍の現在、雇用者数はトランプ政権開始時に比べて500万人減少し、現在の雇用者数はあらゆる現代の大統領と比較して最低だ。
いかがでしたでしょうか。NYタイムズでは更に多くの検証がなされていますので、気になる方は下のリンクから飛んでみてください。
引用
‘I keep my promises,’ Trump said. Let’s check. – The New York Times
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