コロナ感染者のアメリカ入国への「バックドア」が問題に?

2022年5月現在、アメリカ合衆国に空路で入国する際にはコロナウィルスの陰性証明が必要となります。

しかしながら、実はこの陰性証明を用意出来ない人向けの「バックドア」が実は存在しており、これが一部で話題、あるいは問題視されているようです。

そのバックドアとは、すなわち陸路です。アメリカ人がカナダあるいはメキシコから陸路で国境を越える場合は、陰性証明の提出は不要となっています。また現状、隣国のカナダでは入国に陰性証明が不要であるため、これらの抜け穴を組み合わせる事で陰性証明無しでアメリカに入国する人々がいるようです。

ニューヨーク・タイムズはこの「バックドア」を利用した人物のエピソードを記事に掲載しているので、当ブログでご紹介します。

ギリシャで三週間の休暇を過ごしていた夫婦はマイアミの自宅へ帰る際に、ギリシャからの出国前検査で夫が陰性、妻が陽性の結果を得てしまいました。

もしそのまま空路のみで自宅へ帰る場合、夫妻はCDCのガイドラインに従い自己隔離の為にフライトを10日間延期しなければなりませんでした。しかし、ホテルのアートコンサルタントである彼女には10日以内に結婚式に関する業務に出る必要がありました。

そして仮に国内でコロナ発症した場合、CDCのガイドラインによれば5日間の自己隔離期間を設ける事が決められています。そのまま空路のみでの帰宅を試みる場合は10日間の隔離ですが、陸路で入国してから検査をすれば5日間の隔離で済みます。またギリシャでの10日間の隔離にかかる費用は自己負担であり、これらの材料が夫婦に「バックドア」を使用することを決断させました。

夫婦は一度フライトの行き先をカナダのトロントに変更し、そこから陸路でニューヨーク州のバッファローへ向かい、そこから国内線でマイアミへの戻りました。(国内線利用の場合は陰性証明の提出は不要。)

今現在、どれだけの数の感染者が陸路を使って国境を行き来し、またそれらがアメリカにおける感染リスクの要因となっているのか、明確なデータは存在しません。このバックドアによって共にカナダへ飛行機で渡航する人たちにウィルスを感染させるリスクなども存在します。

一方で上記の隔離期間の違いや、経済的な側面からバックドアを利用せざるを得ない人々もいるようです。

上の夫婦は国内外で陽性の判定を受けた際のCDCによる隔離期間の設定のズレに対して不満を持っている事が記事では明かされています。また現在の症状の軽さと、隔離期間の長さのバランスが取れていないと感じている事も、決断の理由の一つであったと説明されています。

現在の日本でも屋外でのマスク着用についての論争がありますが、どの国においても行動制限は常に健康リスクや経済状況とバランスが取れたものに調整する必要があるでしょう。

健康リスクが非常に高い状況でないと、経済的に我慢を強いるような行動制限は説得力を持たないですし、現在のような健康リスクが低下している状況で行動制限を強いれば自然と人々の不満は高まりますし、このようなバックドアを探す必要性を生み出してしまうのかも知れません。

現在各国の政府に求められているのは、健康リスクの正しい分析と評価でしょう。

引用・参考

Testing Positive and Using the ‘Backdoor’ to Get Into the U.S. – The New York Times (https://www.nytimes.com/2022/05/28/travel/us-travel-covid-test.html)

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中