ジョージアでの勝敗が今後のアメリカ政治に与える影響

2022年の中間選挙では民主党陣営が当初惨敗すら予想されていた状況を覆して、意外な善戦をしました。

下院多数派は流石に守り切る事が出来ませんでしたが、議席数は共和党218 VS 民主党212と6議席差であり、大差というほどではありません。

上院では共和党が保持していたペンシルベニアの議席を民主党でペンシルベニア州副知事のジョン・フェッターマンが獲得した一方で、他の民主党議員の改選州は全て守りきったため、民主党は既に上院50議席を保持して多数派としての立場を維持することに成功しました。

そして今後ジョージア州にて上院選挙の決選投票が行われるため、ここで勝利すれば51議席と更に勢力を拡大させることが可能です。

ジョージアは南部に属する共和党の地盤であり、本来この議席を維持するのは厳しい所ではありますが、中間選挙では民主党のワーノック議員は共和党のウォーカー候補に対して0.9%の票差で勝っていました。(両者50%の得票に至らなかったため決選投票にもつれ込みました。)なので、決選投票がどのような結果に落ち着くのかは全く予想が出来ません。

それでは仮にジョージアで民主党が勝利して51議席を獲得し、安定的な多数を取った場合、アメリカの政治は今後どのように変化するのでしょうか。

共和党寄りの民主党議員との取引がなくなる

アメリカの議会では党議拘束が非常に弱く、議案一つ一つに対して自分自身の強い意志表示を行う議員がいます。

現在そのような立ち回りをする最も著名な議員が民主党のジョー・マンチン議員です。ウェストバージニア州選出の彼は民主党所属ながらも保守的な立場にあり、民主党のリベラル寄りな法案や予算案に対しては造反をちらつかせる事で政策的な取引を行う人物です。

バイデン政権や他の民主党議員も自身の政策を通すためにはマンチン議員のご機嫌を伺わなければならず、バランサーとしての役割を果たす一方で、大きな権力を持っている人物とも言えます。

マンチン議員の力の根源には50対50という上院での拮抗状態にあります。民主党側としてはマンチン議員を含めた50票を取りまとめたら、副大統領のタイブレークによって自分たちの通したい法案を通せるわけですが、造反が出てしまえばタイブレークに持ち込む事が出来ないわけです。

ですので、仮に民主党が51議席を獲得した場合はマンチン議員との取引無しに法案を通せるようになるため、上院での審議はよりスムーズなものになるはずです。しかしながら、下院は共和党多数となるため、そこで法案の修正が行われる事になります。

2024年の選挙が少し楽になる

次回の上院選挙は2024年で、ここでまた別の上院33%の議席が改選される事となるのですが、この選挙においては民主党はやや不利な立場にあります。なぜなら彼らにとっては守りの選挙となるからです。

2024年に改選される33議席のうち、大半の23議席は民主党、あるいは民主党側に与する独立系(バーニー・サンダース議員などが独立系)の議席です。

更にこの23議席にはモンタナ州とウェストバージニア州のような本来ならば共和党が強い州や、ウィスコンシン州、オハイオ州、ペンシルベニア州のようなスイングステート(民主・共和の勢力が拮抗している州)も含まれており、これら全ての議席を守る戦いは非常に厳しいものとなります。

仮に今回51議席と勢力を伸ばせば、この守りの戦いへのプレッシャーが幾分か楽なものになるでしょう。もしもこの23議席のうちの1議席を失っても、同時に行われる大統領選挙で民主党候補が勝利すれば、先程紹介したタイブレークのルールによって上院での優勢を維持することが出来ます。また全改選議席を守りきれば、仮に大統領選挙で共和党候補が勝利しても51議席保有の民主党が上院多数派を維持出来ます。

逆に民主党としては今回のジョージア決選投票での勝利を逃した場合、2024年の選挙で上院の優勢を維持するには改選議席の全てを守り切るのが最低条件で、それもあくまで大統領選で民主党候補が勝利した場合の話であり、確実に上院多数派を維持出来るかは大統領選次第となります。

アメリカ政治において上院は極めて重大な権能を持ちます。

日本の学校の社会科の授業などで条約承認権を持つ事を習った人も多いかと思いますが、それ以上に重要なのは、上院が大統領の指名する最高裁判事や閣僚の人事に対する承認権を持つという事です。

実際に共和党は上院多数派であった頃にオバマ大統領による最高裁判事指名に対する審議を拒否した事があります。仮に2024年に共和党候補が大統領選に勝利しても、民主党が上院多数派を維持していれば、新大統領による組閣人事を妨害する事も可能になります。

3分の1ずつが改選される上院では、毎回の選挙結果による影響が長く残ります。ジョージアの決選投票は今後6年間のアメリカ政治がどのように展開していくのかを占う重要な選挙となるでしょう。

決選投票は12月6日です。

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