トランプ前大統領が狙う遅延戦略、その方法と目的

今月に入り、トランプ前大統領がニューヨークで起訴されたことは、世界的な大ニュースとなりました。

元大統領への刑事起訴は史上初であることなどはよく知られていますが、この裁判は今後どのように展開されていくのでしょうか。

米国政治専門ニュースサイトのPoliticoは、トランプの狙いはひたすら遅延をすることにあると指摘しています。

トランプはこの裁判をどのように、いつまで、なぜ遅延させようとしているのでしょうか。

今回は、Politicoの記事の一部を翻訳・抜粋して紹介します。

以下は記事の翻訳となります。

「遅延、遅延、遅延」:トランプはどのように彼の裁判を選挙期間中にまで引き延ばそうとしているのか?

ドナルド・トランプへの起訴状のインクが乾くほどの時間もまだ経っていないが、すでに大方の予想で、前大統領は伝統的なトランプ流戦略に出ることが広く予想されている。それは遅延である。

この起訴と裁判の間にある手続きを引き伸ばすことで、トランプはこれからの裁判を、彼自身が共和党最有力候補者とされる2024年の大統領選挙期間にまで遅延させることができる。

彼の弁護士たちが相手に忍耐を強いさせてきたことで、トランプは数十年にわたってこの遅延戦術を研ぎ澄ましてきた。今回の刑事訴訟は、彼が今まで行ってきた民事での戦いとは異なるものであるが、彼には依然として使用できるノウハウが残されている。

かつてマンハッタン地方検事事務所に30年務め、現在は弁護士であるキャサリン・クリスチャンはこう語る。

「もし彼らが仕事をするというのなら、彼らはこれの為に出来る全てのことをするでしょう。そう、遅延、遅延、遅延、遅延です。彼らは思いつく限りのモーション、それが彼らが提出しようとしているものです。」

この裁判の中で、時間を食いつぶす為の手段としてはこのようなものがある。まず裁判そのものを拒否する、裁判をニューヨーク市から外に移そうとする、この裁判に携わる検察官や判事からその資格を剥奪しようとする、裁判をニューヨーク州の司法から連邦裁判所に持っていこうとする、などなど。

それ以外にも、連邦裁判所では通用しないがニューヨークでのみ取れるような手段も残されている。

「彼らは、こういった動きを見せるかも知れません。裁判所に対し確認するように要請するのです。果たして地方検察が大陪審に法的に十分な証拠を紹介したのかどうかを。これは連邦裁判所においては使えないテクニックです。」元マンハッタン地方検察の局長であるマイケル・スコット氏はそのように語る。

また皮肉なことに、検察による起訴が遅れた事に対して不平を申し立てる事で、トランプはさらなる遅延を引き出す事が出来る可能性がある。6年前に起きた出来事に対する起訴の遅れは、ニューヨーク州憲法における法手続きの権利に対する侵害であるとトランプは主張する事ができる。

今後、5月初旬に今回の起訴それぞれに対する動議の期限がやってきて、続いてその後の裁判のスケジュールが設定されていくが、動議一つ一つに対して上で述べたような動きを示すであろうことは確実視されている。

無論、今回のトランプの裁判を主宰すると予想されているファン・メルシャン判事はこういった遅延への努力に対して目を光らせる事は間違いない。

合衆国憲法修正第6条で、全ての刑事被告人は迅速な裁判を受ける権利を持っている。しかしながら、多くの被告人は起訴日を延期しようと努力する。2024年11月の大統領選挙で仮にトランプが勝利した場合に生じる彼の法的な不確実性を考えれば、こういった遅延行為は彼にとって非常に魅力的な物となる。

抜粋終わり

如何でしょうか。近ごろの報道では、この裁判によって投票者からトランプへの支持はより強くなるという予想もありますが、やはり彼にとって重要なのは再び大統領となって法的に安全な地位を得る事です。

今後彼が自身の保身を図る為には、あらゆる手段を講じても2024年11月の大統領選投票日まで、この裁判を引き伸ばす必要があるわけです。

果たしてニューヨーク州の司法は、こういった企みを防ぐ事が出来るのでしょうか。今後に注目です。

引用元

‘Delay, Delay, Delay’: How Trump could push his trial into the heart of campaign season – POLITICO

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