突如として始まったイスラエルとハマスの戦闘は世界を揺るがすニュースとなった。
ウクライナ戦争にも未だ決着の目が見えない状況で更なる世界の不安定化が進んでいる。
このような状況で重要なのは超大国であるアメリカがどのように動くかという事だが、現状若干のトーンダウンが見られるものの、バイデン政権はハマスによるミサイル攻撃以来イスラエルを強く支持している。
今回の紛争において、アメリカ政治におけるユダヤロビーの影響力の存在などが日本でも広く知られるようになってきたが、当のアメリカ国民たちは今回の紛争をどのように見ているのだろうか。
アメリカの公共ラジオ局NPRによれば、アメリカの世論全体としてはイスラエルを強く支持しているものの、内実としては世代や人種による分断が起こっているようだ。
今回はこのNPRの世論調査を紹介していこう。
まず前述の通り、アメリカ人全体としてはイスラエルの事を支持する声が大きいとされている。
この調査の質問「イスラエルとハマスの戦争について、アメリカ政府はどのような態度を取るべきか?」に対して用意された答えは、
1. 公式にイスラエルを支持すべきである
2. 何もすべきではないし、言うべきでもない
3. 分からない
4, 公式にイスラエルを批判すべきである
という4つだ。
これに対し、まず投票権を持つ年齢のアメリカ人全体で見ると、65%はイスラエルを支持すべきであると答えている。26%が何もすべきではない、またはわからないと答え、明白にイスラエルを批判すべきとしたのは8%である。
3人に2人がイスラエルを支持する一方で、明確な批判の意思を持つのは1割にも満たない。
しかしこのイスラエルに対する見方は世代によってかなり異なっている事がわかる。

世代別統計によれば、最もイスラエルを支持しているのが沈黙の世代(1920年代後半〜WW2終戦までに生まれた人々)で、彼らのうちのイスラエルを支持するのは86%で、批判に回るのはごく僅かだ。
イスラエル支持を掲げる人の割合は、年代が若くなるにつれて小さくなる。
戦後世代であるベビーブーマーは83%、ケネディ政権期からベトナム戦争期生まれのX世代は63%となる。
そして70年代後半以降のミレニアル世代と、現在の20代を中心とするZ世代に至ってはついに過半数を割って48%となっている。
そして何もすべきでも言うべきでもないとしている人は37%、イスラエルを批判すべきとしている人は12%で、どちらも全世代で最も大きい。
この質問よりも更にはっきりと世代によるイスラエル観の違いを示すデータも存在する。
同調査に「イスラエル側の反撃は過剰か、不足しているか、適切か」という質問があり、全体では26%が過剰、27%が不足、44%が適切と評価している。
ベビーブーマー以上の世代で過剰と評価しているのは12~14%だが、X世代以下になると30~37%と急増する。
これらのデータは非常に興味深いものである。先述の通り、アメリカ政府は今回の戦争においてイスラエルに対して強い支持を表明している。まずアメリカとイスラエルは事実上の同盟関係にあり、この支持はそのような立場によるものであると言える。
そしてその後ろ盾としてしばしば語られるのは、アメリカ政治におけるユダヤロビーの存在である。彼らの影響力を測る事は難しいが、彼らの存在がアメリカをイスラエル支持の立場に置いていると、インターネット上あるいは報道で語られる事がある。
一方で、もう一つの後ろ盾となっているのはアメリカ国民の支持、特にベビーブーマーから上の世代の人々の支持である事が今回のデータからわかる。アメリカは民主主義国家であり、国民の意思を全て無視する事は出来ない。イスラエルへの肩入れにも、アメリカの国民感情がハッキリと反映されている。
しかし興味深いのは、これが未来永劫続くものなのかと言う事だ。
世代が下るに連れてイスラエルへの支持は縮小している。特にイスラエルの戦争の進め方に対して反感を抱く若い世代は多い。
20〜30年後、今の若い世代がアメリカの社会の中心を担う時代に、アメリカとイスラエルの関係は現在とは異なるものとなっているのかもしれない。
参考・引用元
